釧路市内にも最近狐がいる。人間の周りのほうが生活は楽なのだろう。犬や猫と変わらないがさすがは野生だ。人間との距離感がある。しかし、人間の文化的な生活に依拠している狐はどこかみすぼらしい。
40分程車を走らせる。釧路郊外で見かけた狐は粉雪舞い散る中じっとこちらを凝視している。街中の狐とは圧倒的に違う距離感だ。しばし車を降りてシャッターを切る私が疎ましくなったのか立ち上がるとそこで脱糞をし奥の林に消えていった。ここからは俺の縄張りだ、来るなという警告なのだろう。
冬は生き物の気配もなく静のイメージがあるが一歩道路から外れると野生の気配があふれる。雪原に身を躍らせ駆けていく鹿の群れ。ダンスをするように跳ねる野兎。木立の中で歌うカラ類。冬こそ森の中に入ると楽しいことが待っている。