昨日までの三日間釧路は、釧路らしいといえばそうなのだが、霧に覆われていた。しかし、違和感がある。欠落感だ。鳥の鳴かない春。それは霧笛がならないことだ。以前であれば、こんあ霧の日は朝から晩まで、一晩中霧笛がなるのが、かつての釧路。現在はレーダーやGPSの普及と共に霧笛で陸の位置

を知らせるという霧笛の存在価値は否定され撤去という運びとなった。釧路という記号を思い出す喚起剤に霧笛は最高のフレバーをまき散らしていた。フェロモンのように無意識に作用するもの。霧が立ち込めても霧笛が聞こえないという状況は、故郷を失い、感性がしぼみ、耳が遠くなった初老の男の気分だ。聞こえるはずのない霧笛を聞こうと真っ白い闇に耳を凝らす。思い出そうにも、あの圧倒的な迫力の現実の音が聞こえない。霧には湿原沿いに誕生した殺風景な街の眺めを霧は、エキゾチックな幻夢に変えて見せてくれる盟友の力がある。湿原上に建った街に陰影をつけて憂鬱で憂い影深く、極東の国籍不明な都市のような印象に変る。霧により遠近感のなくなった世界は白い闇はどもまでも深く広がりを持ち、日常を非日常空間に変えてしまう。足りないのは霧笛、霧笛がこの異空間に変貌を遂げたこの街の非日常的世界を閉じた円、完璧な空間としていたことに改めて気づいた。

 


 

 

 

About MORIKAWA

1960年生まれ 北海道移民150年目 (株)オイコス 代表取締役 北海道道釧路市在住 趣味 シーカヤック 自転車 野営 たき火  中小企業家同友会 政策副委員長

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